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2023.07.25

糖尿病性腎症になったら、『透析』ってなにするの?予防するには?

 

糖尿病性腎症とはどのような病気かご存じですか?糖尿病の方なら耳にしたことがあるのではないでしょうか。腎臓に関わる病気のため、症状が進むと透析を行う必要があり、日常生活に制限が出ることに加え、その後もさまざまな合併症を引き起こしやすくなります。

 

この記事では糖尿病性腎症とはどのようなものか、透析とは何をするのか、糖尿病性腎症を発症・重症化しないための予防方法はどのようにすればよいのか、などについて解説します。

 

糖尿病性腎症とは糖尿病の合併症

糖尿病性腎症とは、糖尿病を発症してから10年以上経過すると起こりやすくなる、糖尿病3大合併症の1つです。

 

体内の毛細血管は、高血糖の状態が長く続くことによって損傷を受けます。腎臓は、血液を濾過して老廃物を尿として排出する器官です。腎臓の濾過装置である糸球体の毛細血管が高血糖で損傷を受け、腎機能が低下して起こる腎不全が、糖尿病性腎症です。

 

糖尿病性腎症になってしまうとリスクが増える

糖尿病性腎症の発症初期は無症状ですが、進行に伴ってさまざまなリスクが増えます。

 

1つめは、心不全のリスクです。糖尿病性腎症が進行した患者は、腎臓の働きが弱まるために余分な水分を尿として排出できなくなります。そのため心臓が収縮できなくなり、全身に血液を送れずに心不全が起こります。

 

2つめは、さらなる合併症を発症するリスクです。糖尿病治療では低カロリーの食事と運動を指導されますが、腎不全治療では高カロリーの食事と運動制限が指導されます。糖尿病と腎不全の治療方法は両立が難しいために症状が進行しやすく、さらなる合併症を発症してしまうリスクが高くなります。

 

3つめは、血管が脆くなって起こるリスクです。糖尿病性腎症を起こすほど高血糖状態が続いている患者は、血管が脆くなっています。透析治療で血管が傷つき、化膿や壊疽を起こすリスクが高くなります。

糖尿病性腎症の進行度は数値で判断

糖尿病性腎症の進行度は、尿検査や血液検査の数値で判断します。

進行度ごとの検査数値や自覚症状は以下の通りです。

※ご自身の病期の詳細は担当医師に確認してください。

 

病期 尿検査

尿アルブミン値(mg/gCr)
あるいは
尿タンパク値(g/gCr)
血液検査

GFR(eGFR)
(ml/分/1.73m2)
自覚症状
第1期
(腎症前期)
正常(29以下) 30以上 自覚症状なし
第2期
(早期腎症期)
微量アルブミン尿
(30〜299)
30以上  
第3期
(顕性腎症期)
顕性アルブミン尿(300以上)
あるいは
持続性タンパク尿(0.5以上)
30以上 むくみ
息切れ
食欲不振
第4期
(腎不全期)
問わない 30未満 顔色の悪さ
体のだるさ
吐き気
手足の痛み・痺れ
第5期
(透析療法期)
透析療法中 透析療法中 顔色の悪さ
体のだるさ
吐き気
手足の痛み・痺れ

 

透析導入の基準は検査結果

腎臓機能が著しく低下して末期腎不全の状態になると、透析を導入する必要があります。

 

糖尿病性腎症は第1期や第2期で自覚症状がないため、腎機能の状態は尿検査や血液検査で調べます。

何らかの症状が出たときには腎不全が進行した状態で、透析が必要もしくは一歩手前の状態です。

 

第3期以降では進行を遅らせることしかできないため、定期的な検査で腎臓機能をチェックしておきましょう。

 

ここからは、透析治療の方法や導入後について解説します。

透析の方法は2種類から選べる

機能を失った腎臓の代わりに、血液中の老廃物や不要な水分を取り除く透析治療には、血液透析と腹膜透析の2種類があります。
腹膜透析は、お腹の中に水を入れて、体内で透析を行います。血液透析は、体の中から血液を取り出して、機械で血液をきれいにして体に戻す方法です。どちらもメリットデメリットがあります。

 

血液透析は、病院にさえ行けば、病院スタッフにお任せで自分が何かする必要はありません。ですが、連休もお盆も年末年始もなく、週3回必ず病院に行き1回4時間の透析治療を受ける必要があります。

 

腹膜透析は通院せずに自宅での処置が可能です。病院に通う頻度は月1-2回ですが、自分で1日4回透析液の交換をしなければなりません。
また、実施可能な期間に限度があり、腹膜の状態によっては5〜8年経過後に血液透析へ移行します。

 

  血液透析 腹膜透析
CAPD(手動)
腹膜透析
APD(自動)
透析場所 医療機関 自宅 自宅
透析所要時間 4〜5時間 約30分 就寝時
透析頻度 3回/週 4〜5回/日 1回/日
通院頻度 3回/週 1〜2回/月 1〜2回/月
月額費用 40万円 30〜50万円 30〜50万円
実施可能期間 無制限 5〜8年で血液透析へ移行 5〜8年で血液透析へ移行

 

透析を受けることで起こる合併症がある

透析を受けている患者は、心不全や感染症、脳血管障害などの合併症を発症しやすくなります。

 

摂取する水分量の調整や、感染症予防を心がけて、合併症の発症を予防しましょう。

 

合併症名 要因
心不全 体内水分量の増加
感染症 免疫力低下によって、さまざまな病原体に感染しやすくなる
脳血管障害 体内水分量の増加に伴う高血圧で脳血管の負担増加

 

糖尿病性腎症を発症・重症化しないための予防方法

糖尿病性腎症を発症・重症化させないためには、食事や運動による血糖・血圧・脂質コントロールが重要な治療法です。

病状の進行度合いで対処方法が異なるため、担当医師の指導に従いましょう。
糖尿病性腎症の発症は、食生活や運動などの生活習慣改善と適切な医療によって、32%も低減できることが分かっています。

糖尿病性腎症を発症・重症化させないよう、腎機能の悪化を予防しましょう。

 

まとめ

糖尿病性腎症は悪化すると透析治療が必要になり、生活にさまざまな制約を受けます。

糖尿病の方は薬を飲んでいるからと安心せず、治療や食事・運動などの生活改善を心がけて、腎不全にならないように気になる事があればまずは病院で受診することからはじめましょう。

 

 

糖尿病性腎症とはどのような病気かご存じですか?糖尿病の方なら耳にしたことがあるのではないでしょうか。腎臓に関わる病気のため、症状が進むと透析を行う必要があり、日常生活に制限が出ることに加え、その後もさまざまな合併症を引き起こしやすくなります。

 

この記事では糖尿病性腎症とはどのようなものか、透析とは何をするのか、糖尿病性腎症を発症・重症化しないための予防方法はどのようにすればよいのか、などについて解説します。

 

糖尿病性腎症とは糖尿病の合併症

糖尿病性腎症とは、糖尿病を発症してから10年以上経過すると起こりやすくなる、糖尿病3大合併症の1つです。

 

体内の毛細血管は、高血糖の状態が長く続くことによって損傷を受けます。腎臓は、血液を濾過して老廃物を尿として排出する器官です。腎臓の濾過装置である糸球体の毛細血管が高血糖で損傷を受け、腎機能が低下して起こる腎不全が、糖尿病性腎症です。

 

糖尿病性腎症になってしまうとリスクが増える

糖尿病性腎症の発症初期は無症状ですが、進行に伴ってさまざまなリスクが増えます。

 

1つめは、心不全のリスクです。糖尿病性腎症が進行した患者は、腎臓の働きが弱まるために余分な水分を尿として排出できなくなります。そのため心臓が収縮できなくなり、全身に血液を送れずに心不全が起こります。

 

2つめは、さらなる合併症を発症するリスクです。糖尿病治療では低カロリーの食事と運動を指導されますが、腎不全治療では高カロリーの食事と運動制限が指導されます。糖尿病と腎不全の治療方法は両立が難しいために症状が進行しやすく、さらなる合併症を発症してしまうリスクが高くなります。

 

3つめは、血管が脆くなって起こるリスクです。糖尿病性腎症を起こすほど高血糖状態が続いている患者は、血管が脆くなっています。透析治療で血管が傷つき、化膿や壊疽を起こすリスクが高くなります。

糖尿病性腎症の進行度は数値で判断

糖尿病性腎症の進行度は、尿検査や血液検査の数値で判断します。

進行度ごとの検査数値や自覚症状は以下の通りです。

※ご自身の病期の詳細は担当医師に確認してください。

 

病期 尿検査

尿アルブミン値(mg/gCr)
あるいは
尿タンパク値(g/gCr)
血液検査

GFR(eGFR)
(ml/分/1.73m2)
自覚症状
第1期
(腎症前期)
正常(29以下) 30以上 自覚症状なし
第2期
(早期腎症期)
微量アルブミン尿
(30〜299)
30以上  
第3期
(顕性腎症期)
顕性アルブミン尿(300以上)
あるいは
持続性タンパク尿(0.5以上)
30以上 むくみ
息切れ
食欲不振
第4期
(腎不全期)
問わない 30未満 顔色の悪さ
体のだるさ
吐き気
手足の痛み・痺れ
第5期
(透析療法期)
透析療法中 透析療法中 顔色の悪さ
体のだるさ
吐き気
手足の痛み・痺れ

 

透析導入の基準は検査結果

腎臓機能が著しく低下して末期腎不全の状態になると、透析を導入する必要があります。

 

糖尿病性腎症は第1期や第2期で自覚症状がないため、腎機能の状態は尿検査や血液検査で調べます。

何らかの症状が出たときには腎不全が進行した状態で、透析が必要もしくは一歩手前の状態です。

 

第3期以降では進行を遅らせることしかできないため、定期的な検査で腎臓機能をチェックしておきましょう。

 

ここからは、透析治療の方法や導入後について解説します。

透析の方法は2種類から選べる

機能を失った腎臓の代わりに、血液中の老廃物や不要な水分を取り除く透析治療には、血液透析と腹膜透析の2種類があります。
腹膜透析は、お腹の中に水を入れて、体内で透析を行います。血液透析は、体の中から血液を取り出して、機械で血液をきれいにして体に戻す方法です。どちらもメリットデメリットがあります。

 

血液透析は、病院にさえ行けば、病院スタッフにお任せで自分が何かする必要はありません。ですが、連休もお盆も年末年始もなく、週3回必ず病院に行き1回4時間の透析治療を受ける必要があります。

 

腹膜透析は通院せずに自宅での処置が可能です。病院に通う頻度は月1-2回ですが、自分で1日4回透析液の交換をしなければなりません。
また、実施可能な期間に限度があり、腹膜の状態によっては5〜8年経過後に血液透析へ移行します。

 

  血液透析 腹膜透析
CAPD(手動)
腹膜透析
APD(自動)
透析場所 医療機関 自宅 自宅
透析所要時間 4〜5時間 約30分 就寝時
透析頻度 3回/週 4〜5回/日 1回/日
通院頻度 3回/週 1〜2回/月 1〜2回/月
月額費用 40万円 30〜50万円 30〜50万円
実施可能期間 無制限 5〜8年で血液透析へ移行 5〜8年で血液透析へ移行

 

透析を受けることで起こる合併症がある

透析を受けている患者は、心不全や感染症、脳血管障害などの合併症を発症しやすくなります。

 

摂取する水分量の調整や、感染症予防を心がけて、合併症の発症を予防しましょう。

 

合併症名 要因
心不全 体内水分量の増加
感染症 免疫力低下によって、さまざまな病原体に感染しやすくなる
脳血管障害 体内水分量の増加に伴う高血圧で脳血管の負担増加

 

糖尿病性腎症を発症・重症化しないための予防方法

糖尿病性腎症を発症・重症化させないためには、食事や運動による血糖・血圧・脂質コントロールが重要な治療法です。

病状の進行度合いで対処方法が異なるため、担当医師の指導に従いましょう。
糖尿病性腎症の発症は、食生活や運動などの生活習慣改善と適切な医療によって、32%も低減できることが分かっています。

糖尿病性腎症を発症・重症化させないよう、腎機能の悪化を予防しましょう。

 

まとめ

糖尿病性腎症は悪化すると透析治療が必要になり、生活にさまざまな制約を受けます。

糖尿病の方は薬を飲んでいるからと安心せず、治療や食事・運動などの生活改善を心がけて、腎不全にならないように気になる事があればまずは病院で受診することからはじめましょう。